来なかった近未来 - ゆゆ式Records (ゆゆ式 Advent Calendar 2019)
かつてネットレーベルという文化があった。簡単に言うと、インターネットを拠点に活動する音楽レーベルのことだ。ここでは詳しい説明はしない。
ネットレーベルが最盛を迎えていた2009年、ひとつのレーベルが誕生した。
「(柊)つかさRecords」という名前のそれは、文字通りらき☆すたの柊つかさをサンプリングした、主にアンビエント・エレクトロニカを扱うレーベルだった。
アニメをサンプリングした音楽として、古くからナードコアというジャンルが存在する。しかし、つかさRecordsが掲げた「日常系xエレクトロニカ」という組み合わせは既存のナードコアの文脈には存在しないものだった。日常系エレクトロニカは新しい音楽の可能性であり、それはインターネットの端で静かに芽吹いていたのだった。
その後、いちごましまろモチーフの「のぶえレコーズ」、ひだまりスケッチの「ゆのっちレコーズ」の登場、そしてALTEMA Recordsからのけいおんコンピレーションアルバム「SCHOOL GIRL AKATHISIA」のドロップにより、日常系エレクトロニカはさらなる広がりを見せていく……はずだった。
しかし、現実はそうならなかった。
それからしばらくしてSoundCloud、BandCamp等の配信サービスが台頭し、音楽はレーベルからではなく個人でリリースする時代になった。ネットレーベルのブームは急速に縮小し、2013年頃には、「オワコン」扱いされるようになっていた。ゆのっちレコーズは閉鎖した。
アニメゆゆ式が放送開始したのは、奇しくもネットレーベルという文化が終りを迎えた年と同じ、2013年だった。
アニメにならなければ音は付かない。サンプリングできる音がなければ音楽は作れない。
ゆゆ式はネットレーベルにはならなかった。間に合わなかった。
これは来なかった近未来のゆゆ式Records、ゆゆ式の音楽に対する追憶と、いつか生まれるはずのゆゆ式Recordsに対する希望です。
ゆゆ式 Advent Calendar 2019 16日目の記事です。
元ネタ
a new song of mine called 'eigendynamik' - featured on the @BRAINFEEDER 'X' compilation, ... pic.twitter.com/mN6Zp37IGF
— dorian concept (@dorianconcept) 2018年11月19日
祈り
2019/07/31 日記
なでしこと舞洲のcircus x circusに行く約束をした。
チケットは、既に2人分取ってある。まだ1ヶ月も先だから、失くさないようにしないと。
なでしことライブに行くのは、VaVaのリリースパーティー以来だ。
私が図書室でVVOLRDを聴いていたら、なでしこが興味を持ったので、CDを貸してあげたのがきっかけだった。かなりハマったらしく、2人でキャンプをしている時も、Honeyを鼻歌で歌ったり、テントを張りながらAye Ayeと声を上げたりしている。きっと、無意識なんだろうな。
ライブのなでしこは凄かった。
「リンちゃん!!!!VaVaだよ!!!VaVa!!!本物だよ!!!すごい!!!」
そりゃ、本人のライブだしな。
私たちは最前列に居た。後ろの客に押しつぶされながら、なでしこは腕がちぎれるくらいスマホを高く掲げて、バシャバシャとVaVaの写真を撮っていた。VaVaが煽れば、張り裂けるくらいの声で叫び散らすし、Hookでは、
「でぃすぷーれいのーなか!!!!!げんじつふぃーりんおんまいまい!!!!」と歌いながら、ビョンビョン飛び跳ねていた。
あんなにテンションの高いなでしこを見たのは、初めてだったな。普段も高いけど。
そういえば、前座のtofubeatsの時も、目をキラキラさせて、lonely nightsを全被せしてた。FANTASY CLUBを貸した覚えはないから、自分で買ったか、YouTubeか、サブスクか。いずれにしてもdigることを覚えているわけだから、なかなか見込みがありそうだ。
平沢唯です。
平沢唯です。
仕事の帰り道、あずに、梓ちゃん、と、ばったり会いました。ツインテールがなくなってたから、ほんとに梓ちゃん?ってきいたら、「就活中なんですっ」って。
そっかぁ。もうそんな時期なんだ。
わたしは、挨拶だけで済ませようとしたけど、梓ちゃんがどうしてもっていうから、いっしょにごはんを食べました。
ぜんぜん連絡もないから、心配してましたって、怒られちゃった。
ごめんね、避けてたから。って、いったらもっと怒るよね。
あずにゃんは、大学でも軽音部にはいってて、友達とガールズバンドを組んでるみたいです。純ちゃんも、いるんだって。
就活はしてるけど、やっぱりバンドをやりたいっていうのもあって、いろいろ、ライブとか、オーディションとか、がんばってるみたい。
ふつうに仕事したほうがいいよっていったら、「唯先輩、ほんとにどうしちゃったんですかっ」って。また、おこられちゃって。でも、あずにゃんの顔、さみしそうだった。
おうちに帰って、クローゼットをあけました。着てない服といっしょに、ギー太が、置いてありました。ほこりでベトベトで、弦もぜんぶさびてて、汚かった。
HTTではじめてやった曲、なんだっけ。ふわふわタイムを弾きました。もう何年もさわってないのに、まだ、おぼえてた。
文化祭のライブ、楽しかったなって、そしたら、軽音部のこと、澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、あずにゃん、さわこせんせい、いろいろ、思いだして。よくわからなくなって、ぐしゃぐしゃになって、気がついたら、ベッドのうえで、うつぶせになって、ないていました
梓ちゃんに、ライブのチケット、もらったんです。いきたくなかったけど、やっぱり、いきたい。
日曜の、夜かぁ。月曜、有給とろう。
インターネットと音楽の思い出
ネットレーベル全盛の頃とか、ちょっと前のインターネットについて思い出すことがあったので、ここに書く。
僕が音楽に触れ始めたのはインターネットがきっかけだった。
高校1年ぐらいの頃、ニコニコ動画で偶然目にした雑音部の動画が最初だった気がする。
【ざつおん!】「Cagayake! GIRLS (クリオネ remix)」【けいおん!】 by competor 音楽/動画 - ニコニコ動画
テレビやラジオで流れる音楽とは全く別のもので、意味がわからなかった。しかし、不思議と自然に聴くことが出来た。
それから雑音部のメンバーであったこんぺいとうPや、アングラアニソンRemixタグの楽曲を漁っていった。
【初音ミク裏アニメ】不在の森 by competor - ニコニコ動画
[1236-2509] PPS / もってけ!セーラーふく 【死人on the floor mix】 by P1941Kai 音楽/動画 - ニコニコ動画
この頃、ゆめにっき等のコンテンツにもハマっていたので、そういう時期だったのだと思う。
アニソンのリミックスを聴いていて出会ったのがGo-qualia氏の音源だった。氏が参加していた分解系やつかさレコーズから、ネットレーベルという文化を知った。
寝・逃・げでクリックハウス! by 59alia 音楽/動画 - ニコニコ動画
Girl of Synesthesea/Chapter1 | Bunkai-Kei records
ネットレーベルの中でも、つかさレコーズ、のぶえレコーズといった、アニメキャラをフィーチャーしたレーベルは何度も聴いていた。楽曲もさることながら、1つのキャラクターがインターネットという場で分解され、再構築される光景が興味深く、好きだった。「分解・再構築」という概念は分解系や、同時期に活動していた現代アート集団のカオスラウンジにも見ることができた。既存の文化を再構築する、という行為が、当時の僕が音楽、そしてインターネットに触れて感じていた面白さだった。
その後、マルチネ、アルテマ、セラミックといった大御所のレーベル、つくしレコーズや赤身レコーズ、たかしくんなどの何でもあり系レーベルを辿っていった。
Calla Soiled氏のLostは今でも聴いている。TedとFuture DanielのリミックスからClarkとWarpを知ることになった。
[ALTM-017] | RELEASE | ALTEMA Records
たかしくんレコーズのhanazawa epも名盤である。シューゲイザーが好きになったのはこれのせいだと思う。
Tatuki Seksu - プリコグ - YouTube
当時は精力的な活動を行っていたネットレーベルであるが、現在ではそこまで表に出ることはなくなったように思う。上で書いたレーベルも、ほとんどが更新されていないか、サイトごと消えてしまっている。
インターネットで音楽を配信する行為が一般的になったことや、bandcampなどのサービスが広まったことで、ネットレーベルの目新しさや役割というものが薄れてしまったのか。
あの頃の、音楽がネットレーベルによって分解、再構築されていた頃の空気を思い出して寂しくなった。
去年、OUT OF DOTSに行きましたが、あの場所には空気が残っていた。
またやらないかな。